神社めぐりをしていると、
この神様ってどういう神様なの?
どんなご利益があるの?
よく見るこれにはどんな意味があるの?
と疑問に思うことがありますよね。
そんな疑問を解決するため、神社の神様やご利益、成り立ちについてわかりやすく解説していきます!
今回は、「浅間神社(せんげん・あさまじんじゃ)」について。
浅間神社は、日本に住む人なら、誰もが知る《富士山》を神様として信仰する神社です。
神社にまつわる知識が増えると、神社めぐりが何倍も楽しくなります!
浅間神社を参拝される際は、お友達やご家族に教えてあげてください♩
浅間神社(せんげん・あさまじんじゃ)とは
浅間神社では、富士山を神様、または神様が鎮座する神体山として祀っています。
その信仰は、「富士信仰」「浅間信仰」と呼ばれ、奈良時代以降、富士山周辺を中心に関東や東海地方で盛んになりました。
浅間神社は全国に約1,300社あり、総本宮は、富士山本宮浅間大社(静岡県富士宮市)です。
浅間神社の他に、富士神社という社名の神社もあります。
浅間神社の成り立ち
富士山は、その高さや、均整の取れた見た目の美しさから、古くより神様の住む山と言われていました。
山といえば、男らしいイメージですが、富士山はあまりに美しいので女神に例えられてきたようです。
第11代崇神天皇3年(紀元前27年ごろ)前後には、富士山の山麓の数カ所に神様を祀るようになりました。
しかし、奈良時代の800年ごろから、富士山の火山活動が活発になり、度々の噴火で周辺住民は大変な被害を被ります。
富士山の噴火は、富士山の神様=浅間大神の怒りが原因だと考えられました。
そこで、神様の怒りを沈めるために、806年に第51代平城天皇の勅命で、社殿を建てて神様を祀ることになりました。
命を受けた坂上田村麻呂によって、最初の浅間神社である「富士山本宮浅間大社」が築かれました。
富士山は神様のいる山なので、人の立ち入りは禁止されていました。
平安時代になると、富士山に登る人も現れ始め、室町時代には登山路が整備されます。
さらに江戸時代には、富士山登山が流行になりました。
7つある登山口に浅間神社が置かれ、登山者は各ルートにある浅間神社に立ち寄り、安全祈願を行ったそうです。
浅間神社の御祭神とご利益
浅間神社では、木花開耶姫命(このはなさくやひめのみこと)を主祭神に祀っています。
他に、花之咲耶姫命の姉神である磐長姫命(いわながひめのみこと)や、父神の大山祗神(おおやまづみのかみ)などを合わせて祀る神社も多いです。
富士山の神様は、長らく浅間大神と呼ばれていました。
木花開耶姫命には、燃え盛る産屋の中で出産したという伝承があり、炎のイメージが火山である富士山と重なって浅間大神=木花開耶姫命となります。
また、木花開耶姫命は見た目も美しく、気品に溢れる才媛と言われています。
男女問わず、羨望や憧れの対象になる女神は、まさに富士山の神様にふさわしいですね。
有名な浅間神社
浅間神社は、以下の神社が特に有名です。
- 富士山本宮浅間大社(静岡県富士宮市|駿河国一宮)
- 浅間神社(山梨県笛吹市|甲斐国一宮)
- 北口本宮冨士浅間神社(山梨県富士吉田市)
- 河口浅間神社(山梨県富士河口湖町)
富士山は2013年に「富士山と信仰・芸術の関連遺産群」として世界遺産に登録されました。
上記の、甲斐一宮を除く浅間神社も、世界遺産を構成する一部として登録されています。
知っていると楽しい!浅間神社の豆知識
浅間神社と桜の深い関係
御祭神・木花開耶姫命の「木花」は桜のことです。
そのため、浅間神社では桜を神紋にしていたり、境内にたくさんの桜を植えています。
富士山本宮浅間大社の御神木は桜で、境内には500本以上もの桜が並びます。
日本の美しさの象徴とも言える、富士山と桜。
桜と富士山と五重塔を一枚の写真に収められる「新倉富士浅間神社」は、海外で日本旅行ガイドブックの表紙にもなり、その美しさを見るためにたくさんの外国人観光客が訪れます。
山梨県や静岡県の浅間神社には、富士山と桜を描いた素敵な御朱印帳がたくさんあります!
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浅間神社に富士塚がある理由
富士山は山自体が神聖な神の山として、信仰の対象でした。
そのため、昔は富士山は禁足地で、遠くから遥拝するものでした。
中世になって、富士山登山路が盛んになっても、標高3,776mの富士山を登るのは大変。
そこで、富士山に登れない人や、遠くに住む人のため、浅間神社の境内に富士山を模して作られたのが「富士塚」です。
富士山山頂には、富士山本宮浅間大社の奥宮が鎮座していますが、富士塚にも同じように山頂に祠や社殿が置かれました。
富士塚を登れば、富士山に登ったのと同じご利益が得られると言われています。
富士塚には、富士山の溶岩が使われることもありました。
また、江戸時代には富士信仰の人たちの組合「富士講」が流行し、各地に富士講が結成されました。
メンバーたちで資金を出し合って、富士講の代表者数名が富士山に登ったしたそうです。
富士山信仰なのに”浅間”神社なのはなぜ?
長野県と群馬県の境に浅間山(あさまやま)という山があります。
浅間神社で、浅間山ではなく富士山が信仰されているのはなぜでしょうか?
それは、「浅間(あさま)」は火山を意味する言葉で、昔は富士山も浅間と呼ばれていたからです。
”せんげん”と読まれるようになったのは中世以降から。
富士山と呼ばれるようになった由来には諸説あり、「福慈岳」「不二山」あるいは「フジ」という大和言葉など、様々です。
浅間神社でしか見られない!? 「浅間造」の社殿
浅間神社特有の建築様式に「浅間造」があります。
2階建ての社殿で、上階は、入口側正面の屋根が前に長く伸びている流造という様式になっています。
浅間造の本殿では、御神体が安置される神座は、上階にあります。
浅間造が見られる浅間神社は以下の4社です。
- 富士山本宮浅間大社 本殿(静岡県富士宮市|駿河国一宮)
- 静岡浅間神社 拝殿(静岡県静岡市)
- 多摩川浅間神社 本殿(東京都大田区)
- 浅間神社 本殿(神奈川県横浜市)
▲ 浅間造の本殿が描かれた、富士山本宮浅間大社の御朱印帳
古事記に学ぶ御祭神の伝説
※以下、神様の名前の記載は古事記に合わせています!
木花之佐久夜毘売と邇邇芸命の結婚
浅間神社の御祭神・木花之佐久夜毘売は、天照大御神の孫で、地上の国を治めるために高天原(神様たちの世界)から降り立った邇邇芸命と結婚します。
地上に降り立った邇邇芸命は、笠狭岬(鹿児島の野間岬)で出会った美しい木花之佐久夜毘売に一目惚れ。
邇邇芸命はすぐに求婚し、木花之佐久夜毘売の父・大山津見神も喜んで結婚を許してくれました。
大山津見神は、木花之佐久夜毘売の姉・石長比売も一緒に嫁に差し出してくれました。
しかし、石長比売は見た目が醜く、邇邇芸命は石長比売を見るなり送り返してしまいます。
父・大山津見神は、「石長比売には長生き、木花之佐久夜毘売には繁栄の力があるからこそ、二人を一緒に嫁にやったのに!」と激怒しました。
木花之佐久夜毘売の懐妊と誰の子?疑惑
邇邇芸命と結婚した木花之佐久夜毘売は、その日のうちに「身篭りました!」と懐妊を告げます。
それを聞いた邇邇芸命は「いくらなんでも一夜で身篭るわけがない。他の地上の神様との子では?」と疑いました。
木花之佐久夜毘売は、「私が無事にこの子を産めたら、天の神様であるあなたのとの子である証です!」と言い、出入り口のない産屋を建てて中に籠り、産屋に火を放ちました。
燃える産屋での出産により安産・子育ての神へ
出口のない燃え盛る産屋の中で出産に挑んだ木花之佐久夜毘売は、無事に3人の子をお産みになります!
炎の中でも無事に出産を遂げたことから、木花之佐久夜毘売は安産・子育ての神様として信仰されています。
- 火照命(ほでりのみこと)…海幸彦
- 火須勢理命(ほすせりのみこと)
- 火遠理命(ほおりのみこと)…山幸彦
木花之佐久夜毘売の子供のうち、火遠理命は後に、初代天皇である神武天皇の祖父神となりました。
まとめ
富士山周辺を中心に関東〜東海地方に鎮座する浅間神社は、富士神社とも呼ばれるように、富士山を神として信仰する「富士信仰」の神社です。
全国に約1,300社あり、富士山本宮浅間大社が総本宮です。
御祭神は木花開耶姫命で、姉の磐長姫命、父の大山祗神が共に祀られることもあります。
木花開耶姫命は燃える産屋の中で出産したことから、安産・子育てのご利益があるとされています。
富士塚や、浅間造など、浅間神社特有の見どころも!
御祭神にちなんで、桜が植えられている神社が多いので、桜の時期の参拝が特におすすめです!
浅間神社のことを知れば知るほど、参拝がもっと楽しくなります!
ぜひ浅間神社にお参りの際は、いろいろ注目してみてください。
お読みいただき、ありがとうございました(*´◒`*)